Interview

都会にはもう住めないほど、小諸の良さに惚れ込んだ。土に触れる農業に日々心からの幸せを感じて

甘利 崇雄さん

農業生産法人 有限会社アマリファーム 代表

「農業の概念を変えて憧れの職業にしたい」

名古屋でデザイン関係の仕事をしていた甘利崇雄さんにとって、大変なイメージがある農業は一番やりたくない仕事だったと言います。それが結婚を機に小諸で就農して実際に農業に携わると、土に触れることで安定した精神を保てることや、自然に囲まれた場所で暮らせることの良さに気づいたそうです。農業の良いギャップを感じた実体験があるからこそ、農業の持つ魅力を伝えたいと感じ、作業着や道具にデザイン性を持たせるなど“カッコいい農業”を目指す取り組みが始まりました。

現在は13名の従業員と共にアマリファームの代表として、レタス、白菜、ネギなどを生産したり、ファームブランド『farm made』を立ち上げて加工品の販売も行なったりしています。小諸に暮らすことや、農業の仕事をすることをステータスにしたいと考えている甘利さん。農業の魅力やアマリファームでの取り組み、移住したからこそわかる小諸の魅力について話をお伺いします。

日々、自然と向き合う農業は究極のアウトドア

実は、私の中で就きたくない仕事のNo. 1が農業でした。大変そうだし、そもそもこの職業に就くイメージも持てていなかったからです。しかし、結婚をして家内の実家が農業をやっていたことから小諸に暮らして農業を始めることに。最初の1-2年は、小諸の環境に慣れることや、体力的にしんどいので体力づくりをすることなどで精一杯でした。精神的にもかなり参っていましたが、そんなときにはよく標高2,000mの場所にある高峰高原まで車で行って、その雄大な景色に励まされていましたね。運が良ければ雲海が見れることもあり、今でもよく行く大好きな場所です。

就農して3年目の頃から、自分の手で自分たちの食べるものをつくりだす農業という仕事に誇りを持って取り組めるようになりました。お天道様のご機嫌を伺いながら、毎年が一年生というフレッシュな気持ちで取り組むことができるのが農業の素晴らしさ。変わっていく気候の中、自然相手に教わることが本当にたくさんあるんです。もともとアウトドアが好きだったこともあり、農業って“融通の効かないアウトドア”だなと感じるようになりました。どんな天候であっても、僕たちが作った野菜を待ってくれているお客様がいる。最初は何も知らないで毛嫌いしていた農業ですが、今ではこんなやりがいのある仕事は他にはないとさえ感じています。

若い人が小諸で農業をしたいと思える土壌をつくる

小諸に移住した当時は小諸は“小さい諸”と考えていましたが、今は“大きな諸”いう意識の変化があります。近くには、浅間山、佐久平、八ヶ岳があり、とにかくスケールの大きな街なんです。リゾート気分を味わいたければ軽井沢も近いですし、都会へのアクセスも抜群。小諸は都会過ぎずに適度な田舎であるバランスの良さが魅力だと思います。都会育ちの自分ですが、小諸の環境の良さに惚れ込んでしまったので、もう都会には住めないですね(笑)。子どもを3人授かり子育てをしていますが、子どもの視野がとても広くて、僕が小さかった頃よりも大きな器を持っていると感じます。

これから新しく農業を始めたかったり田舎暮らしをしてみたい人にとっても、小諸はいい街です。アマリファームも社員の半分以上は県外からの方で、新しい方の受け皿は確実にあります。最近では独立して農業をやるよりも、農業生産法人に身を置いて農業を覚えながら仕事をしていく若者が多い傾向にあるようで、時代の変化も感じます。

小諸からクリエイティブな農業を発信したい

何事も俯瞰して周りを見渡せる状況になった頃、地域の農家の高齢化問題が課題として目の前に立ちはだかりました。そこから若者にも農業に興味を持ってもらえるよう、作業着にアウトドアブランドのものを取り入れたり、見せ方を変えて農業をカッコよく面白くしていきたいという気持ちが芽生えました。作業着に良いものを取り入れることは、大事に長く愛着を持って使うという価値観にもつながるのではないでしょうか。

また、アマリファームでは農業体験の受け入れを積極的にやっていますし、小諸に来た際は是非体験してほしいです。農業という仕事でなくても手で土に触れる体験は人間にとってとても大事なことだと私は思っています。

最後に、小諸の荒町にできたコーポラティブスペース「合間 (aima)」に期待することは、小諸が経済、文化、生活などの拠点になること。クリエイティブな方に来ていただいて、農業+クリエイティブで発信しても楽しいかなと想像しています。

小諸には手付かずの自然があり、おじいちゃんおばあちゃんちに来たような感覚で仕事をすることができる。ずっと小諸にいた方にはわからないかもしれないですが、小諸には絶妙なバランスの良さがあるんです。私もこれから農業を通じて、小諸の街に貢献していけたら嬉しいと思っています。

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