Interview

世界中を飛び回るキャリアを経て、長野に移住。新たなライフスタイルで得た幸せのカタチ

大山 江利子さん

湯楽里館ワイン&ビアミュージアム

友人の葡萄畑の手伝いで何度も訪れていた長野県東御市。「地域おこし協力隊」の仕事を知り、2020年7月から東御市の観光やワインを広める活動に従事しているのは、元CA(キャビンアテンダント)として世界中を飛び回っていた大山江利子さん。

以前は17年もの間、エミレーツ航空、アリタリア航空などで働き、海外を舞台に華々しい活躍をされていた大山さんが、地域おこし協力隊へと転身を遂げた経緯には、一体どんなきっかけがあり、その過程でどんなことを考えたのか。また、東御市のお隣、小諸市の荒町にできたコーポラティブスペース「合間 (aima)」に期待することなど含め、さまざまなお話を伺いました。

— コロナ禍の影響を受けた航空業界。そして、人生の転機が訪れる

出身は三重県津市で、愛知県の大学に進学。大学卒業後はエミレーツ航空への就職を機にアラブ首長国連邦のドバイに移住し、CAとして世界を飛び回っていました。ドバイに移り住んで16年が経った頃、日本への帰国を決意し、その後イタリアのアリタリア航空に転職。生活のベースを東京に移したほぼ同じタイミングで、コロナウィルス感染症の影響が全世界に広がりました。

ご存知の通り、航空業界は大きな影響を受けました。フライトがキャンセルになることも多く「仕事がなくなるかも……」とリアルに感じ、他の仕事を探すことも頭をよぎりました。「地元の三重県で、昔から興味があった宿の経営をやってみたいなぁ」と想像してみたり。

そんな日々を過ごす中で、友人が長野県の東御でワイン葡萄の畑を始めたので、フライトがなくなって予定が空いた日は、畑の手伝いをしていました。訪れる度に、景色が本当に美しいし、食べ物も美味しいし、なによりも人が温かくて、東御をすごく気に入っていったのです。

私が、ここに住むきっかけとなったのは、畑を手伝っている時に「地域おこし協力隊」の人もお手伝いに来ていて、話を伺う機会があったからです。活動内容を聞いていると「楽しそうだな、面白そうだな」と感じて、ちょうどワインに関する協力隊を募集していたので応募することにしたのです。コロナ禍により今後の人生について考えることがなければ、この出会いはなかったでしょうし、今私がここにいることもなかったと思います。

結果、東御に移住することになり、すごく健康的になったなと思います。以前は仕事の時間が不規則で、生活リズムが昼夜逆転しているような状態でした。夜中に起きて仕事をする日々だったので、早寝早起きとは無縁で遮光カーテンを閉めて寝ていましたからね。今は新鮮な野菜を食べて、夜にしっかり寝て、朝早く起きて……もう夜中に起きていた頃には戻れません(笑)。

— 移住者が増えると、生活の質が上がると実感

長野に来て最初の1ヶ月は、東御の観光ステーションで働いていました。その後、ワインミュージアムに移り、今はミュージアムを訪れたお客様に館内のご案内などをしています。ミュージアムには観光客が多くいらっしゃるので、観光ステーションで東御全体を知ることができた期間がとても役に立っています。

東御は日照時間が長く、降水量が少ない典型的な内陸性気候なので、上質なワインを作るのに最適な土地です。ワインの製造が学べる学校もありますし、ワインの生産者は移住されてきた方が多いなど、近年では「新しいワインの銘醸地」として全国から注目を集めています。

私は地域おこし協力隊として東御にやってきたので、ワイン関連の仕事に限らず、地域活性のためにいろいろな方と関わりを持つことができています。市役所の職員さん、街づくりに携わる方、移住してきた方など、このポジションだからこそ出会えた方がたくさんいるので、東御での仕事のやりがいに繋がっています。さまざまな視点や意見を伺いながら、この地を訪れた方に魅力を伝えていきたいですね。

このあたりは本当に美味しいものが多いです。そして安い!移住してきた人が都会で磨いた腕前で、この土地の水や小麦など最高の素材で商品を作っているので、値段は安くてもレベルが下がることがないんです。移住者が増えるということは、その土地の生活の質が上がることに繋がると実感しています。

— 1人でできないことも、みんなで協力することで実現できる場に

私自身の小諸との関わりは今のところあまりないのですが、ワイン生産者が小諸にもいらっしゃるので会いに行ったことがあります。小諸は畑を探す際にも行政が協力的だと聞いています。

あと、小諸もとにかく人が温かくて、助け合いの精神が素晴らしい土地だと感じています。小諸の中心地、荒町にはコーポラティブスペース「合間 (aima)」ができたので、ここをきっかけにたくさんお店ができてほしいですね。飲食店でも雑貨屋でも、今後「なんでもいいからやってみたい!」という思いがある人が集まれば、1人でできないことも、みんなで協力して実現していける……「合間 (aima)」がそんな場所になればいいなと感じています。

私自身の経験から言うと、移住にあたっては仕事が見つかるのかどうかが一番心配な部分だと思うので、雇用を生み出すようなマッチングの場ができるといいですね。仕事の他にも、空き家や美味しい飲食店など、地元の人も移住の人もそこでさまざまな情報が得られる場になれば、たくさんの人が利用すると思います。

そしてゆくゆくは海外からのインバウンド観光客をもっと呼び寄せる土地にしたいですね。日本人はもちろんですが、この里山の良さを外国人の方に紹介していきたいです。私も今まで海外のいろんな場所に行って、いろんな経験をさせてもらったので、今度は日本を訪れる外国の方に恩返ししていきたいと思っています。旅慣れた人なら、東京よりも緑豊かで昔ながらの日本の良さを感じられる小諸に興味を持つはずです。いつかはインバウンド向けに、古民家で宿と朝食だけを提供するB&B(Bed&Breakfast)にも挑戦してみたいですね。

私の場合、長野に移住するまでは全く違うキャリアを歩んでいましたが、このように夢がどんどん膨らんでいる今はとても楽しいです。

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