Interview

遊ぶからこそ、良い仕事ができる。緊張感を置いて、仕事をしないワークスペースがあってもいい

花岡 隆太さん

菱野温泉 薬師館 代表

「湯治場のように人々が交流する場を提供したい」その思いで、小諸の山間にある菱野温泉の薬師館の代表として日々仕事に向き合っている花岡隆太さん。

長野県小諸は、時間の概念がないくらい緊張感を置いておける場所だと語る花岡さんは、同時に世代を超えた繋がりがもっと生まれ、若者が活躍できる場が必要だとも話します。

小諸に生まれ県外で働いていた経験もある花岡さんだからこそ感じる小諸の魅力や課題、そして、小諸に新しくできたコーポラティブスペース「合間 (aima)」がどのような場になれば面白いかなどのお話を伺いました。

絶景露天風呂や、地場の食材を使った料理が自慢のお宿

小諸市菱野で生まれ育ち、高校卒業とともに東京へ。全国展開のファミリーレストランで、店舗開発や新店舗の立ち上げに携わっていました。小諸に戻ってきたのは28歳の頃で、2008年からこの会社に入社し、当時は商品開発や宿のオペレーションマネジメントの仕事をメインに行っていました。今では、ときどき厨房にも入るなど旅館業をほぼ一人でこなしており、会社の代表になったのは2021年の9月と最近のことです。

そんな私が感じる、ここ菱野温泉の魅力は数えきれないくらいありますが、やはり一推しは大自然の絶景が望める展望露天風呂。雄大な自然を文字通り“ダイレクト”に感じていただける温泉です。また、冷温泉は800年以上前の源泉を使っていて、温泉と水風呂の交互浴でしっかりとととのうことができると評判をいただいています。

滞在しているお客様の表情を見ていると、自然と緊張がほぐれリラックスされていくように感じます。宿泊される方はリラックスしすぎて忘れ物が多いのも、当館の特徴かもしれません(笑)。

旅館は人間の衣食住に関わる欲求を全て満たすことができる場であり、私も良質な温泉や地場の食材を活かした料理でお客様に満足していただくことで、シンプルに喜びを感じています。

何か新しいことを始める人の相談役になれたら

小諸の魅力は、ただただ時間を忘れて羽根を伸ばせることに尽きるのではないでしょうか。小諸で生まれ育った私自身、山並みにある棚田や雄大な浅間山の風景をただ眺めているだけで安心して元気が湧いてくるような気持ちになれます。手付かずの自然がすぐそこにある地域なので、いつまでもこの豊かな自然は変わらないでいてほしいですね。

逆に小諸の課題を挙げるとしたら、世代の違う人同士がもっと手を取り合うことではないでしょうか。いや、これは小諸というより日本全体の問題であるような気もしますが、移住をしたり二拠点生活を送ったりする若者がもっと増えるといいなと思うと同時に、古くからその土地に住んでいるご高齢の方々がしっかりとコミュニケーションをとり、助け合いの輪が生まれたらいいなと思います。

そのために、まず若者が小諸に魅力を感じてもらうための環境を整えることや、土地の魅力を発信していくことも大事になってくるはずです。若者が活躍できる場があれば、自然とお年寄りを大事にする循環が生まれるはずです。

私自身は、具体的にこんな方に小諸に来てほしいなというイメージは特にありませんが、小諸で何かやってみたいという想いがある方であれば応援したい。今まで、いろいろな経験をしてきた方だと思うので、困ったことがあれば気軽に相談してもらえるような立場でありたいと思います。これからは今までのインプットをアウトプットしていく人生に……といった感じです。

カオスだけど、スゴイ。そんな場所ができると面白い

小諸の街に期待することは、あえて「変わらない」が、実は良いことかもしれないということ。ここ数年、世の中はコロナ禍のパンデミックの影響を多分に受けましたが、小諸にいる人々は何も変わらずに心に余裕があってイキイキと暮らしている人も多いように私は感じます。それは、この土地に住んでいるだけで精神的なゆとりが生まれるからかな、とも。

私自身は、小諸を離れて東京で働いた経験があるから感じるのかもしれませんが、小諸ってここにいるだけで自然と癒される場所なんです。なので、あまり仕事仕事って考えるより、小諸で遊ぶとか癒されることにワクワクして来る方が、結果的に仕事でも良い成果を生み出すのではないかな。それこそ、小諸に向かう新幹線の中で仕事の8割を終わらせてしまい、こちらでは思う存分リフレッシュしたりアクティブに遊ぶようなイメージですね。

だから、小諸の中心地である荒町にできたコーポラティブスペース「合間 (aima)」に期待しているのは、“仕事をしないコワーキングスペース”みたいな場であること。喧喧諤諤の意見も飛び交うカオスのような空間だけど、実はすごい仕事をやっているみたいな環境になったら面白いですよね。仕事と遊びを両立できるような場所になることを期待しています。

最後に、私自身はコロナ禍で旅館業が大変な時期ではありましたが、個人的にサウナが好きになったので、これからも毎日サウナに入ってととのい、穏やかに毎日を過ごすという夢を描いています(笑)。自分を理解し、自分の心をととのえていくことはこれからもっと大切になっていく気がしています。今までインプットしてきたものをアウトプットしていくような人生を送っていきたいですね。

Say Hello!

合間 (aima) に関するお問い合わせ

お問い合わせ

合間 (aima) に関するお問い合わせ

Say Hello!