Interview

人生が充実してこその仕事。働き方の「あり⽅」を変える珈琲店の挑戦

梅谷 匡尚さん

彩本堂 代表

「美味しかった」は当たり前。「楽しかった」を提供したい。

そう語るのは、小諸市荒町に店舗を構える彩本堂の代表、梅谷匡尚さん。「コーヒーサイフォン」の魅力を伝えるサイフォン専門店として2021年に開業した彩本堂は、小諸市の新たな立ち寄りスポットとして注目を集めています。

梅谷さんはまた、「小諸にこのお店をオープンしたのは、役場や“おしゃれ田舎プロジェクト”のメンバーの手厚いサポートや熱意があったから」とも話します。実際にどんな魅力がこの地にあり、どんな支援があったのか。そして今後どんな店にしていきたいのかなどを伺いました。

特別な時間を楽しめる場所に

飲食店を立ち上げたいという想いは昔からずっと持っていました。

サイフォンで淹れたコーヒーや、日本茶、ハーブティーなど、さまざまな飲み物と盆栽のペアリングが楽しめるなど、彩本堂の特徴はいろいろとあります。特に、プロである以上美味しいものを提供するのは当たり前で、単純にコーヒーを飲むだけではなく、ここで過ごす時間を特別なものにしてもらいたい。「楽しかった」と思って帰れるような場所にしたいのです。

そして、もう1つこだわりがあります。飲食店は流行り廃りの激しい業界ですが、20年、30年、40年と持続可能なお店にしていきたいと思っています。一杯のコーヒーにさまざまな付加価値をプラスし、生産性を向上させる。残業の発生しない仕組みをつくり、スタッフには仕事の時間以上に、家族と過ごす時間やプライベートな時間を大切にしてもらいたい。その分、プロ意識を磨き、結果として自分たちの働く楽しさややりがい、報酬などにも還元できるお店にしていきたいのです。私自身が飲食業界のあり方やビジネススタイルを考えに考え尽くした結果、このお店にたどり着いたので、みんなが安心して働ける場所にしたいと思っています。

と言うのも、私自身が若い頃からいろいろな飲食店で働いてきて、長時間労働・低賃金・仕事はきついという苦労や課題を感じてきたからこそ、働く人にとっても業界のあり方を変える挑戦ができればという気持ちでいるからです。

立ち上げたばかりなので、その想いの実現はまだこれからですが、理想に至るまでの道筋は見えてきています。

⼩諸は課題と可能性が表裏⼀体

山梨県富士吉田市で生まれ、子供の頃から長野県にはよく遊びにきていました。小諸にも懐古園などに足を運んだことがありましたし、彩本堂を立ち上げる前は、丸山珈琲(本社・軽井沢町)で働いており、小諸市にある焙煎工場の工場長も務めていました。

今回はそのご縁もあり、この場所で開業するに至りましたが、出店する候補地は小諸以外にもありました。いろいろな地域を見てきた中で、小諸に最終的に決めたのは、市役所の方や市街地活性化を目指す民間組織「おしゃれ田舎プロジェクト」の方々が親身になって相談に乗ってくれたからです。店舗の場所選びから関わっていただき、大家さんをつないでくれて、使える補助金も探してくれたり、役場っぽい対応ではなく本気でこの街を良くしていきたいんだなという想いを感じることができ、その“熱意”に背中を押されましたね。

また、ここで実際に商売を始めてからも、地元の方がとても温かく迎えてくれました。同時に、小諸の課題もわかってきました。佐久や上田、軽井沢、長野市といった観光地や人口の多い街に囲まれたエリアだからこそ、立ち寄らずに通り過ぎる街になっているのです。それは、小諸の街の魅力がまだ足りていないからでもあり、たくさんの人が通り過ぎるエリアだからこそ、魅力さえあれば人を呼び寄せられる可能性がたくさんあるとも言えます。地元の人も、みんなが何かを変えていきたいという想いを持っているので、私もその想いに触れて何かできることをしたいと思ったことが小諸に出店した理由の1つです。

だからこそ、話題性のあるものをパッと作って利益をあげ、ブームが過ぎ去ったらいなくなる人ではなく、小諸にしっかりと根っこを張って真剣にビジネスをしていく人がもっと小諸に来てほしい。私もここで、腰を据えて挑戦していきたいと思っています。

小諸を人が集まる魅力のある場所へ

私は今まで、環境のことも勉強してきました。自然保護や生物多様性を学び、持続可能性とは何なのかを考えてきたのです。だからこそ、飲食店の運営も持続可能なものにしていきたい。そのためにも、人が活き活きと働ける店にしたいと思っています。人生が充実してこその仕事ですし、それが私の考える働き方の「あり方」なのです。

今回、小諸の荒町に「合間 (aima)」ができたことで、いろいろなバックボーンを持った人が集まり、いろいろなアイデアを出し合って、より良い社会を作る場になってほしいと思っています。実際に事業を手がけると、人やお金など解決しないといけないものがたくさん出てきますが、そのバックアップ体制や相談できる仲間ができると、いろいろなものが整っていくはずです。

そして、私自身も「人が集まる魅力のある場所」を小諸に作る一員として挑戦をしていきたいと思っています。

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