他力本願はいつ形になるかわからない。自ら街中に飛び込み“楽しい”を生み出していく
髙野 慎吾さん
小諸市役所 商工観光課
楽しいところに、人は集まる。みんなの想いを軸に、小諸をもっと面白い場所にしたい。
そう話すのは、小諸市役所商工観光課の髙野慎吾さん。地域課題を解決するには人と人との信頼関係に尽きると語る髙野さんは、まちなかを活性化する「おしゃれ田舎プロジェクト」も立ち上げ、より良い街の実現に向けて動いている一人です。
今回は、髙野さんがなぜそのような活動をしているのか、そこに至る経緯や、今後どんな街にしていきたいのかなどを伺いました。
人としっかり向き合い、信頼を構築しながら街づくりをしたい
長野県松本市で生まれ育ち、大学は神奈川県の横浜へ。小さい頃に大工さんになりたいと言ったのを覚えていた影響か、工学部建築学科で学び、新卒ではハウスメーカーに勤めました。その後、退職を機に何をしようか考えていた際に、小諸市の職員募集を見つけたのをきっかけに、2012年からこの地で働きはじめました。長野県民なので小諸のことは知っていましたが、それでも軽井沢へ行く際に通過するエリアくらいの土地勘しかない中でのスタートでした。
1年目は建設課に配属となり、その後異動して企画・広報、移住担当などを経て、今は商工観光課にいます。そんな私が役場での仕事の面白さを感じたのは、市民と関わりを持つようになってから。街の広報担当としていろいろな人を取材をする中で、お互いに一定の距離感を持つより、人としての信頼関係を持った状態で関わりたいと思ったことで、仕事がより楽しくなりました。
どこの行政も地域の課題と向き合っています。しかし、行政サイドだけですべての課題が解決できるわけではありません。地域住民の方々はもちろん、民間企業や移住者との連携も必須条件であり、距離を置いていたら課題が先延ばしになりいつまでも解決できません。だから、私自身は人と人との信頼関係を一番大事にしたいし、それが街のためになるとも思っています。
人は楽しいところに集まるもの。それには「想い」が大事
「建物の利活用に困っていて、街のために良い方法はないか」と相談を受けたり、「こんなことがやりたい！」と自ら発信してくる移住希望者の話を聞いたり……商業観光課に配属になってから住人の方や移住者との接点がたくさんできました。
土日に相談を受けることも多く、時々仕事とプライベートの境がよくわからなくなるくらいですが、街に活気が出るのは楽しいことです。そうなった活動の背景として、「おしゃれ田舎プロジェクト」を立ち上げたことも大きいですね。
これは、街を変えていくのに「いつか誰かがやるだろう」という他力本願ではなく、自分たちでやってみようと思ってプロジェクト化したのが発端です。小諸市役所企画課の小林秀行さんと話し、意気投合して動き出しましたが、行政主導ではなく、私たちから地域に混ざっていくスタンスで進めています。
小諸市全体を一気に変えるのは難しいので、ピラミッドを意識し、その頂点から作るみたいに、まずは若い世代が出かけたくなる“まちなか”から変えていこうと考えています。街の中心地を活性化させるために、「お店同士のつながり」や「地域とお店のつながり」を活かした企画を展開していく中で、街の人のウェルカム態勢を感じています。
最初から壁を越えてコミュニケーションができているので、今後も、つながった誰もが「楽しい！」と思えるようなプロジェクトにしていきたいですね。
人生を豊かにする感情が生まれる街に
小諸市は人口4万人ほどの街です。大き過ぎず小さ過ぎずだからこそ、「何かやりたい！」が叶いやすいし、そういう気持ちを持った人に来てほしい。飲食店や小売店など自分で事業がしたい人や、ITで新しいソリューションを生み出していきたい人など、何でもいいので想いがある人を応援したいと思っています。
そして今回、小諸の街の中心部である荒町にコーポラティブスペース「合間 (aima)」ができました。今までこういう場所がなかったので、最初のうちは地元の人で使う人は多くはないかもしれませんが、移住者やワーケーションなど外から来る人も含め、人が行き交い交流する場所になってほしいですね。
そのために私にできることは、地域の課題を共に解決していくきっかけづくりの場を提供すること。アイデア出しでもいいし、人と人をつなげていくこともしたい。そこから何か新しいことが生まれるスキームができたら最高です。
楽しい、面白いなどの感情は人生を豊かにします。小諸をそういった感情が生まれる場所にしたいし、そんな小諸を好きだと感じてくれる人を増やしたい。だからこそ、行政だけではなく、個人や企業も共に動いていくことで、街は生まれ変わると思います。ぜひ、ご一緒しましょう！
