Interview

農ライフをブランドに。自分の心の動きに素直になることで、新たな挑戦が生まれる

武藤 千春さん

ASAMAYA

「小諸は、0から1を生み出すのが好きな人が来たら楽しい場所だと思います」

そう話すのは武藤千春さん。10代は人気ダンス&ボーカルグループのメンバーとして活躍し、現在はアパレルブランド「BLIXZY(ブライジー)」の運営や、小諸にて完全地域・農家密着型の農ライフブランド「ASAMAYA」を手掛けています。

今回の記事では、小諸に拠点を構えてからはじめた農ライフを中心に、自分の心が動く活動を、まさに0から1を生み出す感覚で挑戦している武藤さんの紹介や、小諸の荒町にオープンしたコーポラティブスペース『合間(aima)』についての想いもお聞きしました。今に至るまで、そして今後のビジョンも含め、素直な想いを語っていただきました。

東京と長野の二拠点生活から、今に至るまでの想い

生まれも育ちも東京で、長野県小諸との接点はほとんどありませんでした。曾祖母がお隣の佐久市出身だったので全く知らない土地ではなかったのですが、今ではこちらでの生活がメインになるとは想像も付きませんでしたね。

きっかけは、祖母が小諸に引っ越した際に、私の部屋も作ってもらったこと。東京から90分程とアクセスが良いので、週に2、3日こちらに滞在する田舎暮らしが自然とできていき、なんかこのライフスタイル良いなぁと思ったのです。

例えば、都内にいるときは仕事中心の生活で食事は外食が多かったのですが、こちらでは直売所で野菜を買い、それをどう料理するか考えるのも好きな時間になりました。楽しいことを仕事にしたり趣味につなげていくタイプなので、やらされるのではなく、やりたいという想いが日々上回っていく感覚を覚えました。

また、小諸の人は温かくて、私の活動を本当に応援してくれているのも大きかったですね。地域の人が支えるから自由に好きなことに挑戦してほしいと言ってもらったり、小諸は良いところだから楽しんでねというスタンスで受け入れてくれるのが私にとっては心地が良かったのです。

こちらで生活を始めて半年後に、新型コロナ感染症が全国的に拡大し、東京との往来は控えるようになったことから、小諸中心の生活にシフトしました。都内での打ち合わせなどの仕事はオンラインに切り替え、私が代表を勤めるアパレルブランド「BLIXZY」の運営も、以前からパソコン一台あればどこでもできる体制にしていたのでスムーズに移行できました。

0からはじめた農ライフで、活動のフィールドが拡がっていく

「こんな私でも野菜を作れるんだ!」

農ライフとの関わりは、そんな新鮮な発見からでした。東京にいたときは、土で汚れるイメージがあり、自ら進んでやりたいとは思いませんでしたが、耕作放棄地を手入れし景観が良くなればいいなという軽い気持ちで土いじりを始めたことからハマってしまいました。土、太陽、水……人間関係なら話し合えば解決できたり自分が動けばどうにかなることが多いけど、自然相手だとこんなにも上手くいかないことがあると知ること自体が面白い気づきで。大袈裟に言うと、農を暮らしの中心に置いて、種と鍬(くわ)さえあればどこでも生きていけるという感覚にもなれました。

同時に、ご高齢の方が農業に携わっている現場も目の当たりにし、小さな困りごとを聞くたびに、若い世代の視点で何か解決できないかなという想いも湧き上がっていったのです。音楽や洋服と一緒で、まさに0から1を生み出す感覚ですね。

2021年の春から自分の畑を始め、4か月後にはECサイトで野菜を売り出しました。その後も、私個人の発信だけではなく、いろいろな人に農業に興味を持ってもらう入口を作った方がいいなと思い、完全地域・農家密着型の農ライフブランド「ASAMAYA」を立ち上げて活動しています。農ライフをブランド化することで、さまざまな課題解決にもつながると思ったのです。

例えば昨年の冬、キャベツや白菜が豊作となり、農家で1万個以上の野菜が余ってしまったことがありました。このままだと捨てるしかないという農家のピンチをSNSで全国に発信したことで、完売することができました。他にも、いろいろな農家さんとコラボして商品を作ったり、農家さんの生き方を発信したり、マルシェに出店して野菜を販売したり、「ASAMAYA」を通じて自分の活動のフィールドが拡がっていきました。

人と人がつながり化学反応を起こせる場所に

小諸は、0から1を生み出すのが好きな人が来たら楽しい場所だと思います。例えば、マルシェを東京で開こうと思ったら場所が限られますが、こちらは遊べるフィールドがたくさんあるし、活動を応援しサポートしてくれる温かい人もたくさんいます。私自身も、そんな街の魅力を感じていて、ここで挑戦を共に楽しめる仲間が増えたら良いなぁと思っています。

その意味でも、小諸の荒町にできたコーポラティブスペース『合間(aima)』は、人と人とがつながったり、発信の拠点となる場になって欲しいですね。市外からも人が集まる場所になると、地元の人も面白がって顔を出すかもしれませんし、そこで新たな発見やつながりができたら素敵ですよね。

最後に、私自身は基本的にゴールや大きい目標を決めずに、自分の心の動きをキャッチして、やりたいと思ったことに挑戦したり、時間を使っていきたいと考えています。急に畑を始めたみたいに、目の前にポンと現れた面白いことに素直に従って行動していきたいんです。だから、3年後や5年後に何をやっているのか今はさっぱりわかりませんが、常に自分の心を大事にしているのは確かなことだと思います。その中で、小諸の人に自分を面白がってもらい何かを生み出す化学反応が起こればいいですね。

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